人生100年時代は「学ぶもの」だけが生き残る?

人生100年時代は「学ぶもの」だけが生き残る?

先日「社会人の学び方」がテーマの講演イベントに参加してきた。

『人生100年時代の大人の学び』~社会人がキャリアオーナーシップを持ち、自律的学習者になるための5つの学ぶ力~

リクルートワークス研究所の辰巳哲子さんと21世紀学び研究所の熊平美香さんをスピーカーに迎えて、今後のビジネスパーソンに求められる働き方・学び方を、データや実例をまじえてお聞きした。

前半の辰巳さんのお話では、今後の社会人にとって必要な「学び」とは、進学や資格取得といった期間や目的が限定された勉強ではなく、「創造的な人生を生きるための日常的な活動」と位置付けられていた。

日常的・創造的に学ぶための出発点として、自分の仕事や働き方を主体的に選択する姿勢(キャリアオーナーシップ)をもち、部署や会社が変わっても発揮し続けられる能力(ポータブルスキル)を磨くことが重要ということだった。

また、インターネットサービスや、スマートフォンをはじめとしたスマートデバイスの発達により、学ぶ時間・場所・方法の自由度が増すとともに、従来インプット中心だった「学び」は、今後アウトプットや周囲からのフィードバックをまじえた「プロセス型」へと変化していくということだった。

後半の熊平さんのお話は、個人の「学ぶ力」に加え、「人を育てる力」「組織を作る力」といったマネジメント要素にも触れられていた。

個人の「学ぶ力」は、自分が認識している枠を理解する(認知)、経験を内省する(リフレクション)、価値観をモチベーションに変える(動機の源)、違いを尊重する(多様性)、他者の考えに共感する(対話)が紹介されていた。

講演後、僕が思ったことは3つだ。

1つ目は、21世紀は「大人が学ぶ時代」だということ。

子どもだけでなく、大人も学ぶ。当たり前のことのようだけれど、大人になると仕事に家庭に人間関係にと、何かと忙しいことを理由に学びの時間をないがしろにしがちだ。

また、そもそも学ぶことが日常動作になっていることが多い子どもに比べて、そうでない大人が習慣的に学ぶようになることは簡単ではない。意志をもって学びへの欲求を持ち続けること。学びの楽しさを感じ続けることが必要になる。

大人になると、子どもや部下や後輩といった次世代に「教える」ことも増えてくる。しかし「学ぶことをやめたら、教えることをやめなければならない」という言葉もある。教える場面がある人ほど、学び続けなければいけないのだ。

僕が思った2つ目は、「大人は学び方を学ばないといけない」ということ。

本を読む・研修を受ける、といった「インプット型」から、インプットしたものをアウトプットして、周囲からフィードバックを受ける「プロセス型」に変わっていく、というのは本当にその通りだと思った。

僕自身、ブログを始めてから、記事を書くというアウトプットを意識してインプットすることになったし、人材開発組織開発を仕事にするようになってから、人に教えるというアウトプットを意識することで、急速に学びのスピードが上がった。

このように、学びのアウトプットは仕事における実践でもいいし、人に話すのでもいい。ブログやSNSで発信するのもおすすめだ。アウトプットという出口ができることで、インプットという入口を正しく設計できるようになるからだ。

また、今後の「学び方」は机上でのものから、体験型・経験型になっていくとも思った。経験を振り返って内省することで、未来の成功確率を高めていく。大人こそ経験の宝庫なので、これは有効な学び方になると思った。

3つ目は、「大人が学ぶ理由は自分で決める」ということだ。

これまでの「大人の学び」は出世や資格取得のため、というものが主流だったと思うが、今後は「何のために何を学びたいのか」を自分で決める時代になると思った。

子どもであれば「その学びそのものが楽しいから」も立派な理由になると思う。自分が楽しいと思う学びをし尽くした先に、きっと「なりたい自分」が見つかるはずだからである。

しかし、大人は「自分らしい仕事や働き方を選択するために」学ぶことが重要になる。人生100年時代となり、寿命は延びる中で1つの企業や国が人一人の一生を面倒見てくれることは望めない中で、「生きることは働くこと」になり、「働き続けるために、学び続けること」は今後ますます重要になるからだ。

そんな時代の空気を感じる講演イベントだったが、終了後、僕の中で1つの疑問が生じた。21世紀が学びの時代になればなるほど、「学ぶ人と学ばない人の差は開く一方なのではないか」という疑念だった。

イベント終了後の名刺交換タイムに、辰巳さんにそのまま質問してみた。するとこんな答えが返ってきた。

「この時代に学ばずに生きていくことなんて、そもそも不可能です。生きていれば毎日、何かしらを学んでいく。そうしたその人なりの学びを育んでいくことが大事なのではないでしょうか」

なるほど、とひざを打った。

21世紀は「学びの時代」だ。そして、その僕の中でこのテーマを考えるとき「学ぶものだけが生き残る」くらいに強い気持ちがあった。でも、その思いの裏側には「この世には学ぶ人と学ばない人がいる」という二分法の発想・バイアス(思い込み、色眼鏡)があった。

学ばない人なんていない。すべての人は、今日もその人らしい学びをしている。

人の学びをサポートするという仕事をするうえで、その発想に立った時に、僕が生きているうちに出来ることは無限にあるのかもしれないと考えた。

それでは、また。

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