【振り返り】「KPT」による「継続的なリフレクション」で人は必ず成長する

人材開発
この記事は約4分で読めます。

僕は、もともと過去を振り返ることが苦手だった。

大切なのは常によい「未来」を創ることであり、そのための「今」は大事だけれど、「過去」を振り帰っても仕方がない、という気持ちがあったんだと思う。(ストレングス・ファインダーの1位も「未来志向」だ)

過去を振り返るのは、どこか「暗い作業」というイメージもあった。

終わったことをいつまでも考え続けるというのは、いつまでも前を向けない人が、ジトっとして根暗なことをしている、くらいの印象を持っていた。

そんな僕が「過去の振り返り」の大切さを知ったのは、2年前、人事部門に異動してからのことだ。

研修などを通して「経験学習」という考え方を広める仕事を担当することになったのだ。

経験学習」とは、仕事経験から学び、次の仕事に活かす、という人材開発のアプローチだ。「経験学習」では「内省」といって、自分の考えや行動を深く顧みることが重要であり、「内省」とはつまり「過去の振り返り」のことだった。

「振り返り」は英語で「リフレクション(Reflection)」ともいわれる。この「振り返り」「リフレクション」の大切さを発信している部署だったので、まずは自分たちが「振り返り」を徹底することが強く求められた。

1つ、研修やイベントが終わるたびに、1つ、重要な会議やプレゼンテーションが完了するたびに、まず行われるのが「振り返り」だった。

ここでは「KPT(ケーピーティー)」という手法をよく使った。

KPT」とは、「Keep」「Problem」「Try」の略だ。

「Keep」は「良かったこと」「今後も続けること」、「Problem」は「良くなかったこと」「今後はやめる・改善すること」、「Try」は「次回から新たに挑戦してみること」であり、この3つをホワイトボードなどを使って、出しまくるのだ。

KPT」で「振り返り」を行うときのコツは、3つある。

まずは、すぐ実施すること。研修やイベントごとなら、原状復帰をする前の熱気そのままに行う。会議やプレゼンテーションなら、会議室を出るなり、すぐに行うことが重要だ。記憶が新しいうちに解像度高く、KPTを抽出しまくることができる。

次に、形に残すことが重要だ。ノートに書く。議事録して残す。ホワイトボードで書いたときには、写真を撮っておき、必要であれば清書して文字にしておく。ほとんどの場合は、次の同様の機会というのは1週間、1ヶ月単位で先になるはずなので、記録しておくことで、その時に振り返ったことを企画に活かすことができる。

そして、その場に複数人がいた場合、全員で振り返ることも効果的だ。KもPもTも、一人だけでは「その人にとっての事実」しか挙げることができない。その場にいた他の人の視点から見えたことが複合的に加わることで、より「客観的な真実」に近づくことができる。

複数人で行うときには、率直にフィードバックし合うことが大切だ。

Keep(良かったこと)で、ポジティブな情報交換をしたあとは、Problem(良くなかったこと)を徹底的に洗い出す。その時に変な遠慮があると、結果的によいTry(今後の挑戦)も出てこなくなる。相手のため、関係者のためにならないのだ。

「KPT」は、とてもシンプルなフレームワークだが、効果は絶大だ。

すべての経験を、次の挑戦に向けたエネルギーに転換できることや、よい振り返りができる前提ができると、失敗を恐れずに挑戦的に仕事に向かうことができるようになる。継続的な習慣にしていくことで仕事のスピードも質も上がる。

僕は仕事以外にも、このKPTを使うようにしている。

Excelで「KPT」の枠を横に並べて、定期的に「人生の振り返り」をしている。大きくは「仕事は順調か」「家庭生活は順調か」「個人活動は順調か」の3点を振り返る。

「振り返り」を横並びにしておくことで、時系列でも確認できるようにしている。

自分が何を振り返ったのか、毎回同じことをProblemに書いていないか。Tryに書いたことは実際に行動に移したのか。自分が振り返りを活かしているのかどうかが、明らかになる。

大人の学びは、学校での学びと違って「習慣化」することで効果を発揮するものが多いが、この「KPT」もやり続けることでその本当の価値がわかってくる。噛めば噛むほど味が出るという意味では、「するめ」に似ているかもしれない。

かつて「過去の振り返りなんて意味がない」と思っていた僕が、継続的にKPTをやり続けた結果、今では「未来を創るためのエンジン」だと思っている。

これを読んだ人も騙されたと思って、まずは一度「KPT」を試してみてはどうだろうか。

 

それでは、また。

コメント