【書評】「世界一速い問題解決」をした、その先にあるもの

仕事のヒント
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仕事とは「問題解決」の連続だ

2018年9月。

僕の勤務する会社は一年を4-9月、10-3月の半年で区切って目標を追いかけているので、今月で2018年4月から始まった半期がもうすぐ終わろうとしている。

今期も相当忙しかった。

経営体制が変わり、所属部門の方針も変わったこと。2年ぶりに管理職を任され、マネジメントに取り組むことになったこと。チームの人数が減っていく中で、業務はむしろ増えていったこと。

これまで進めてきた企画がストップしたり、期の途中でトップダウン案件が舞い込んだり。その度にチームの仲間と一緒に解決策を講じながら、なんとかこの9月までたどり着いた。そんな半年間だった。

「あるべき理想の姿」と「現状」の差分を「問題」という。その視点で考えると、仕事とはまさに「問題」の連続だということがわかる。

経営が求めるものと、現場ができていること。顧客が求めることと、今日提供できているもの。目標数値と、現状数値。求められる正確さと、どうしても起こってしまう人的ミス。

これら「あるべき姿」と「現状」の差分を埋めていくこと。つまり「問題解決」こそが、ビジネスにおける仕事そのものだといえる。

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「世界一速い問題解決」が教えてくれるもの

そんな日々を過ごす中で「世界一速い問題解決」という本に出会った。

内容はソフトバンクとヤフーの人気社内研修講師による「問題解決」に関するメソッド集で、タイトルにある通り、「とにかく速く」問題を解決することにフォーカスして書かれている。

本書の特徴は大きく3つだ。

1つは、「問題解決はスキル」であるとし「誰でも身に付けられる方法論」だと言い切っている点だ。

冒頭にも書いたとおり、仕事とは問題の連続であり、それを解決する術が努力で身に付くならば、どんな人でも良い仕事をすることができるということだ。これは勇気がもらえる。

2つ目は、「手順(4つのステップ)」を守れば問題の9割は「70分」で解決できるとしている点。

10分で背景を洗い出し、20分でゴール設定をし、30分で問題の全体を見える化し、10分で解決策を出す。著者の経験に裏打ちされた事例を交えながら、それぞれのステップで気を付けるべき点がわかりやすくナビゲートされている。

そして本書の特徴3つ目は、「速さ」を実現する技法が数多く紹介されている点。

問題を前にして躊躇してしまう場面や、問題の深堀りをしていく間に全体像を見失ってしまう場面を取り上げながら、「シンプルに深入りせずに、とにかく早く」問題解決する方法を教えてくれる内容になっている。

面白いのは、「なぜを5回問う」「フレームワークを活用する」といったよく使われるアプローチの限界を示して、その対案を示してくれているところだ。

具体的には、「問題解決ワーク」と呼ばれる手法で、いち速く問題の全体像を整理して解決策を打ち出す方法が書かれているが、問題解決の本に慣れ親しんだ人ほど、目からウロコが落ちる内容になっている。

個人的に

  • たった「2つの質問」で問題の全体を洗い出す
  • 問題の整理と、解決策の整理では「異なる2軸」を使う

という2点はとても勉強になった。

問題解決はスキルであり、手順を守れば誰にでもできることであり、いくつかの注意事項を守れば「とにかく速く」実行できるとした本書。

働き方改革の波にのって、生産性向上の重要性が叫ばれる昨今。

本書が提示する「速い問題解決」こそ、インプットに対するアウトプットを引き上げまくる、究極の生産性向上策なのかもしれないと感じた。

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なぜ「世界一速く問題解決」しなければならないか

本書を読み終えて、真っ先に考えたのは「なんのために世界一速く問題解決」をしなければならないのか、という疑問だった。

実はそのヒントとなることが、この本の「問題には3つのタイプがある」という部分に書かれていた。

現状見えている、もしくは少し整理すれば可視化できる問題は「とにかく速く」解決すればよいが、未来に起こりそうな問題はその限りではない、とある。

この部分を読んで、僕は「問題」と「課題」の違いのことを考えた。

あまり違いはないように思われる2つの言葉だが、ビジネスにおいては明快に切り分けて使われる。

「問題」とは、「理想と現実のギャップ」のことであり、「課題」とは「課せられたテーマ」のことである。

数ある「問題」の中で、その人、もしくはその組織が、真に立ち向かうべきテーマとなったものを「課題」というならば、実は「問題解決」をする理由は、その先の「課題解決」に手を伸ばすためではないかと思った。

仕事とは「問題」の連続であり、その解決をし続ける時間である。

そして、仕事や人生は「課題」を見つけて、それを追い続ける時間である。

日々直面する「問題」なんて「世界一速く」解決してしまって、その先にある、本来自分が立ち向かうべき「課題」に取り組む時間を作っていければよいのではないか。

本書を読んで、そんなことを考えさせられた。

それでは、また。

 

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