【書評】「1分で話せ」ば、仕事だけでなく人生も変わる

【書評】「1分で話せ」ば、仕事だけでなく人生も変わる

「1分で話せ」ないから伝わらない?

どんな仕事にも共通するのは「人に伝えるスキル」だと思う。

ほとんどの仕事は人と協力しながら進めるものだし、上司やスポンサーなどオーナーシップを握っている人の承認・承諾を得る必要もあるし、何より顧客に商品やサービスの魅力を伝えて購入してもらう必要があり、そのどの場面でも「人に伝えるスキル」が必要になるからだ。

自分自身、20年の会社員生活の中で、この「人に伝える」ことの大切さを何度も味わってきた。

自分のやりたいことが人に伝われば、自然と仕事は前に進む。しかし、うまく伝えられていない時には、どんなに無理やり進めようと思っても必ずどこかで頓挫する。それが互い違いに起こり続けるような20年間だったと、振り返っている。

どうしたらもっと「人に伝え」られるだろう。人とうまく仕事を進められるだろう。

その長年のテーマに、直球ど真ん中のストレートを投げてくれる本に出合った。それが伊藤羊一さんの「1分で話せ」だ。

Amazonビジネス書ランキングでも上位をキープし続けているベストセラーだ。プレゼンを中心としたビジネス上のコミュニケーションにおいて、大切なことだけをシンプルに伝える技術を解説している。

もしかして僕は「1分で話せ」ていないから、うまくいかないのだろうか。そんなことを思わされて、思わず手に取った。

「1分で話せ」ているか?と本は問う

本書の内容はとてもシンプルだ。

結論から話す、その根拠を話す、それを構造化する。軸は「ピラミッドストラクチャー」の話で、ロジカルシンキングを少し勉強した人なら、すでに知っていることも多い。

ただ、そのシンプルな内容がいかに重要かを「誰にでもわかる形」で説明しきっている点がすごいのだ。

なぜピラミッドストラクチャーの構造に話をする必要があるのか。具体的にどのように構成すれば良いピラミッドストラクチャーになるのか。伝えるべき内容を1分にまとめたうえで、人を動かすにはどんな工夫をしたらよいのか。それをとても分かりやすい文章で説明しきっている。

複雑なことをシンプルに。シンプルなことを徹底的に。

本書が伝えてくれるのは、そんな「原理原則」であり、「人を動かすコミュニケーションの鉄則」である。そして、それをこの本自らがきっちりと体現しきっているところが素晴らしい。

ハッとさせられる名言も多く登場する。

「人はあなたの話の80%は聞いていない」

「1分でまとまらない話は、結局何時間かけて話しても伝わらない」

「結局、動かしてなんぼ」

「正しいことを言うだけでは、人は動かない」

心にグサグサ刺さる。

特に「ゴールは相手を動かすこと」というのが目からウロコで、「伝える」ことすら、通過点にしか過ぎないことを思い知らされた。

「意味がつながっていればロジカル」

という解釈もとても腑に落ちた。このシンプルな理解があれば、今後「ロジカルとは何か」という疑問に悩むことはなさそうだ。

字も大きめで読みやすいので、スラスラ読み終えてしまう本でもある。

しかし、問題は読み終わったあとだとも言える。

読んでいる間は簡単そうに思えることが、実際にやろうとすると難しい。読んだ次の日には、まったく結論から話していない自分がいたりする。

読後は「1分で話せているか?」と毎日、問われる日々が始まることを覚悟してもらいたい。

「1分で話せ」ば世界は変わる

キャッチーなタイトルで内容も分かりやすい。ベストセラーになるのもうなづける。

ただしよくあるハウツー系のビジネス署とは一線を画す、本質的な提言がフラットな言葉で説明された良書だ。

一回読んだらすぐできる気がするが、実際は難しいところが、世界的なベストセラー「7つの習慣」にも通じる。

もう一つ、世界的なベストセラー小説である「アルケミスト」にも、この世で最も重要なことは小さな石に数行でかけるけれど、それを理解するために多くの本を読まなければならない、というくだりがある。

大事なことはとてもシンプルだ。だが、難しいのだ。だから練習するしかないのだ。

「大切なことだけをシンプルに人に伝える」

こうしたテーマの本が売れていること自体、世の中のビジネスマンがいかにシンプルに伝えることに苦労しているか、プレゼンがうまくいっていないかを表している。

この本は愛に溢れている。

それは「伝えられない」「分かり合えない」と悩む人たちに具体的な武器を与えてくれるから。この本に書かれたもっともシンプルなことを、皆ができるようになったら、仕事上のプレゼンだけにとどまらず、家庭生活や友人知人との関係向上にも繋がるかもしれない。

「どんな話でも『1分』で伝えることはできる」

と力強く説く本書を読み終えたあとでは、もしかしたらプレゼン下手・伝え下手とは、罪なのかも知れないと思うようになった。できる努力を怠っているだけなのではないかと思うようになった。

人に伝える技術は誰もが学ぶことができる。そして、学んだ人が実践に移していけばいくほど、仕事も、家庭も、友人関係も、ひいてはこの世界も何センチか良いものになっていく。

本書「1分で話せ」は世界平和を実現するのかもしれない。という結論は言い過ぎだろうか。

 

それでは、また。

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