皆さんには「座右の書」って、ありますか。
「座右の書」とは、人生に迷った時に立ち戻る原点のような本のことですが、僕にとっては「7つの習慣」がそれにあたります。
世界的ベストセラーになっている本ですので、もう読んだよ、という人も多いと思います。
読んでなくても名前くらいは知っているのではないでしょうか。
この記事ではどんな方にも「7つの習慣」に親しんでもらうために、僕なりにわかりやすく解説してみました。
もう読んだ人は内容のふり返りに、まだ読んだことがない人は読む前のザックリ把握にお役立てください。
「7つの習慣」とは
どんな内容か
「7つの習慣」は、世界的ベストセラーとなっている自己啓発書・ビジネス書で、仕事・家庭・個人としての活動など、人生全般に共通の成功法則について書かれています。
個人を「依存」状態から「自立」へ、「自立」から「相互依存」状態へと導く7つの習慣的な行動の必要性を説く内容になっています。
国・宗教・時代にとらわれない普遍的かつ具体的な内容を論理的にまとめていて、全世界で3000万部以上売れています。
どこがすごいのか
「7つの習慣」は、テクニック論ではなく、根本的な生き方を見直すための方法が非常に分かりやすく説明されています。
「自己啓発」と言われる領域を簡潔に説明しきっている内容で、極論すれば自己啓発書はこれ一冊読んでおけば大丈夫なくらいです。
実際、「7つの習慣」を読んだあとで他の自己啓発書を何冊か読むとわかりますが、必ず本書で取り上げられていた要素が何かしら含まれています。
また、読後は日々の生活をする中でも「あ、この問題、『7つの習慣』が解説してくれてたな」と気づくことが多くなります。
その度にその部分を読み直して新たな学びを得ることで、「7つの習慣ってほんとにすごいな」と思い知らされます。
そんな名著ではありますが、なかなかボリューム感があることと、一部表現がやや冗長気味であることなどから、読むのを躊躇したり、なかなか読み進められない人もいるようです。
そんな人たちのために以下は僕なりの要約・意訳です。
「7つの習慣」の5つの基本的な考え方
「原則」に従って生きるべし
「7つの習慣」の出発点は「原則」に従って生きる、という考え方です。
「原則」とは「時間を超えて不変」で「場所を超えて普遍」な価値観や真理のことで、人としての「誠実さ」「正直さ」「人間の尊厳」「貢献」「可能性」「勇気」など、常にその価値が変わらないもののことです。
「原則」を生活の中心に置くことで仕事・家庭・人間関係のすべてはうまくいき、逆に「原則」に逆らって生きていけば人生のどこかの時点でうまくいかなくなる、そんな「人類共通の生きるルール」のようなものです。
「人格」だけが人生の価値を決める
人生の成功は「テクニック」(どう見せかけるか)ではなく、「人格」(どういう人間か)で決まります。
「テクニック」でどう取り繕っても、「人格」の方が常に雄弁に「その人がどんな人間か」を発信し続けているので、「人格」の方を向上させない限り、周囲との関係性の向上はありません。
「人格」というと、持って生まれた先天性のもののイメージがありますが、本書ではこれを後天的に、意志を持って向上させていけるものとして説明されています。
「変化」は自分の中からしか起こせない(インサイド・アウト)
「インサイド・アウト」とは自分の内側(考え方、人格など)を変えることから、取り組み始めるアプローチのことです。
良い夫婦関係を得たいなら、まず「良い伴侶」になる。子どもに良い子に育ってほしいなら、まず「良い親」になる。仕事で認められたければ、まず「良い従業員」になる。
ガンジーの「見たいと思う世界の変化に、あなた自身がなりなさい」という言葉の通りに生きていくことからすべては始まる、ということです。
自分の「色眼鏡」をはずし続ける(パラダイム・シフト)
私たちは物事を「あるがまま」(真実、事実)を見てはおらず、常に「パラダイム」(色眼鏡、個人的思い込み)を通して見ています。
そのため自分の「パラダイム」を理解し、それを意志をもって転換(パラダイム・シフト)させることができれば、世界は常に良い方向に変わっていきます。
まずは「自立」し、その後「相互依存」する
人は皆、「依存」から「自立」へ(私的成功)、「自立」から「相互依存」へ(公的成功)の成長プロセスを歩みます。
自立した個人同士が協働することでしか、本当のシナジーは生み出せない、ということです。
「7つの習慣」は、これを実現するためのアプローチであり、「私的成功」については第一から第三の習慣によって、また「公的成功」については第四から第六の習慣によって説明されています。
第1の習慣「主体的である」
※旧訳では「主体性を発揮する」
「刺激」と「反応」の間の「選択の自由」を意識する
人間はどんな局面においても、自分の考えと行動を選択する自由があります。
刺激に対してすぐ反応せずに、自分の意志を持って「どう反応するかを選択することができる」ということです。
みじめな扱い(刺激)を受けたとき、みじめな自分を受け入れる(反応)かどうかは自由です。(もし、この場面でみじめな気持になったとしたら、自らがそれを選んでいるということです)
この感覚を研ぎ澄ませていけば「自分を傷つけることができるのは自分だけだ」ということや、「今の状況はこれまで私が行ってきた選択の結果だ」と思えるようになります。
「影響の輪」「関心の輪」を意識する
自分の身の回りの事象はすべて、2つの輪で描いた絵の中に分類できます。
外側の輪を「関心の輪」といい、自分が関心を持つすべてのことが入ります。
内側の輪を「影響の輪」といい、その中でも「自らがコントロールできること」が入ります。
「関心の輪」には「他人の発言・行動」「人からの評価」「世間体」「過去の出来事」「天気」などが入ります。
「影響の輪」には「自分自身の発言・行動」「自分の考え・態度」「未来のこと」などが入ります。
反応的な人は「関心の輪」に集中してしまいますが、主体的な人は「影響の輪」に集中することで、ポジティブなエネルギーを持つことができます。
第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」
※旧訳では「目的を持って始める」
「自分の葬儀」を想像して「人生の目的」を考える
人生には目的が必要です。
目的のない生き方をしていると「はしごを間違った場所に掛けたまま、一生懸命に登る」ことになってしまいます。
人生の「目的地」は全員共通で「死」です。つまり、自分が人生で達成したことはすべて「自分の葬儀」に表れます。
誰が参列してくれるか。参列してくれた人たちは泣いているか、笑っているか。誰が弔辞を読み上げてくれるか。それはどんな内容か。
そんな風に具体的に想像していくと、それがつまり、自分がどんな人生を送りたいのかの答えになります。
自分の「ミッション・ステートメント」を書く
終わりを思い描く効果的な方法は、自分の信条や理念を表した「ミッション・ステートメント」を定めて、人生の指針にすることです。
「ミッション・ステートメント」は、「夫・妻」「家族」「お金」「仕事」「所有物」「遊び」「友達」「敵」「宗教」「自分自身」のどれに偏っても正しい内容が書けません。
「ミッション・ステートメントの中心」はあくまでもあなたが果たすべき「原則」を中心にすえて書くようにしましょう。
第3の習慣「最優先事項を優先する」
※旧訳では「重要事項を優先する」
「第Ⅱ領域」を重視する
タスクリストを「緊急度(高い・低い)」×「重要度(高い・低い)」の4象限で作られたマトリクスで整理します。
最も時間を確保すべきなのは、緊急度は低いけれど重要度が高い「第Ⅱ領域」のタスクたちです。
人間関係、勉強、地道な努力、将来の計画、健康維持など中長期的に人生を左右する要素はすべてここに入ってきます。
とはいえ、人はえてして緊急度の高いことを優先してしまうものですが、このマトリックスを意識することで対応していくことができます。
例えば、緊急度も重要度も高い「第Ⅰ領域」(クレーム対応、締切の迫った仕事など)は短期的には対応するしかありませんが、予防的な「第Ⅱ領域」の行動を増やすことで徐々に低減していくことができます。
緊急度は高いけれど重要度が低い「第Ⅲ領域」(無駄な会議、無駄な報告、無意味な付き合いなど)と、緊急度も重要度も低い「第Ⅳ領域」(暇つぶし、待ち時間など)は、意志をもって極限まで減らします。(理由は簡単、重要でないからです)
「第Ⅱ領域」の時間を確保する
具体的に「第Ⅱ領域」を確保するためのスケジュール帳も公開されています。
見開き一週間のスケジュール帳で、自分の役割(個人、父、夫、従業員、地域コミュニティの一員など)ごとに週間アクションを洗い出します。
もっとも重要な「第Ⅱ領域」の時間は先にスケジュール化してしまうことで、その他の領域に時間を奪われなくて済むシステムです。
第4の習慣「Win‐Winを考える」
※旧訳でも同じ
「Win‐Win」を意識する
「Win‐Win」(双方が納得する案を見つける)とは、人生を「競争」ではなく「協力する舞台」とみるパラダイムのことです。
「Win‐Lose」(自分を押し通す)、「Lose-Win」(お人好しになる)、「Lose‐Lose」(とにかく相手に損をさせる)、「Win」(勝つことだけを考える)と比べたとき、「Win‐Win」だけが相手との長期的な関係を実現できることがわかります。
もう1つ「Win‐WinまたはNo Deal」という選択肢があります。双方が納得する案が見つからない場合は「取引をしない」ということです。「合意しないことに合意する」こともまた、場合によっては必要と言うことです。
「豊かさマインド」を持つ
「豊かさマインド」とは、世界や人生を限られたパイとしてはとらえず、お互いの協力によって無限に価値を広げ分かち合うことができるという考え方で、「Win-Win」の意識を持つために必要になるマインドです。
逆の状態を「欠乏マインド」といい、人生を1個のパイに見立て、他の人が得をすると自分が損をしたような気持ちになる考え方のことです。
「豊かさマインド」を持つことで、相手と創造的な「第三案」を生み出すことが可能になり、また他の人の成功や成果を心から喜ぶことができます。
第5の習慣「まず理解に徹し、そして理解される」
※旧訳では「理解してから理解される」
「処方する前に診断する」
ろくすっぽ診断もしないで処方箋を出す医者を信用できないように、話も聞かないで助言する人を誰も信用してはくれません。
人に正しい助言をするためには、まずきちんと話を聞かなればならないということです。
「感情移入した傾聴」が重要
相手の立場に立って、相手の立場から物事を眺めて気持ちを感じ取りながら聞くことで、相手は心の中を打ち明けることができます。
人は心の中をすっかり打ち明けられれば、人からの助言がなくても、自分なりに問題を整理し、解決策も見出せるものです。
第6の習慣「シナジーを創り出す」
※旧訳では「相乗効果を発揮する」
「違いこそ価値」であると認める
「二人の人が同じ意見を持っているとすれば、そのうちのひとりは余分である。」という言葉があります。
相違点は、お互いの見えているものが違うということを表していて、それはつまり持ち寄れば新しい視点が見つかる可能性が高いことを表しています。
「第3の案」を探す
相違点がある場面でも、仏教でいうところの「中道」(妥協ではない、三角形の頂点のような高い次元の選択)を探ることができます。
「矛盾の止揚」と言われている弁証法的手法にも通じる考え方です。
第7の習慣「刃を研ぐ」
「肉体」「精神」「知性」「社会・情緒」を日々磨く
人生で唯一最大の結果を生み出す投資は、自分自身への投資です。
「上向きの螺旋状の循環」を生む
「成長を続けるためには、私たちは学び、決意し、実行し、さらに学び、決意し、実行し、そして、なおも学び、決意し、実行しなければならない」ということです。(図)
「7つの習慣」から僕が得たもの
僕は本書から得た理解は2つです。
1つは「どんな状況下にあっても、自分自身の人間性を磨くことで人生は素晴らしい場所になっていく」ということです。
もう1つは「人を変えることはできない、だから自分が変わるしかない」ということです。
仕事で、プライベートで、困難なことがあるたびにこの本を読み返しては「今、自分がすべきことは何か」という初心に帰ることができています。
「7つの習慣」を自分のものにするために
いかがでしたか。ザックリとは理解していただけたでしょうか。
ただ、どこまでいってもこの内容を常日頃意識し続けたり、完全に実行に移し切ることってとっても難しいと思います。
僕自身、この記事を見直しながら、毎回「あ、今ここが出来ていないな」という部分が見つかったりしています。
人間なんてそんなに強くないので、これはある意味当然のことです。
それでもこの本の内容を、少しでも自分のものにするためには、読み終えた後、少しずつ日常生活で起こることを本の内容に当てはめていくといいと思います。
仕事やプライベートで何か上手くいかないことがあったり、情けない思いや悔しい思いをしたときに、ぜひ本書を思い返しながら、行動を振り返ってください。
その時、自分は何を考えたか。どう対処したか。それに対して、周囲の人たちはどう反応したか。
「7つの習慣」に出てくる「原則」がそういった日常の場面場面に見え隠れし始めたら、この本の内容が身に付いてきている証拠になると思います。
それでは、また。
完訳 7つの習慣 人格主義の回復
(スティーブン・R・コヴィー)
まんがでわかる 7つの習慣
(フランクリン・コヴィー・ジャパン)
コメント
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