21世紀の会社と社員は「イコールパートナー」という「健全な共犯関係」を結ぶ

21世紀の会社と社員は「イコールパートナー」という「健全な共犯関係」を結ぶ

 

「もし今日が人生最後の日だとしたら、今日しようと思っていることは、本当にしたいことだろうか?」

 

これはiPhoneを生んだアップル創業者、スティーブ・ジョブズが毎朝、鏡の前で自問自答していた有名な言葉だ。

 

いまの人生や、取り組んでいる仕事に満足している人にとっては、「YES」と答えて終わりの内容だが、そうでない場合、なかなかグサッとくるパワフルな「問い」になる。

 

僕は幸い、この質問に心から「YES」と答えることができる。転職やジョブチェンジを繰り返して、いまビジネスマン人生で最も楽しく、意欲的に働ける仕事に出会えている状態だ。

 

仕事は、IT企業の人事部門で人材開発組織開発をしている。平たくいえば、同じ会社で働く社員や組織をイキイキ・ワクワクさせるサポートする仕事だ。

 

これまで営業や企画などいろいろ仕事をしてきたが、その本業のかたわらで取り組んできた「仲間やチームを盛り上げること」に、フォーカスすることにしたのだった。

 

40歳になったことを機に、人生後半戦のテーマとして選んだ仕事だったが、この選択は正しかったといえる。

 

日々「本当にしたいこと」に取り組んでいる実感がある。「好きこそものの上手なれ」で、仕事がうまくいくことが増えてきたと同時に、多少うまくいかないことがあっても、それを有益な学びに変えられるようになってきた。

 

冒頭の質問に心から「YES」と言えるのは、そういう状態だからだ。

 

でも過去には、同じこの質問に「どうだろう」と悩んでしまったり、明快に「NO」と答えざるを得ない時期もあった。

 

会社に不満を持っていたとき、仕事が合わないとき、ポジションや待遇に満足していないときや、人間関係で上手くいっていないときなど、実にさまざまな理由で、その日しようと思っていることを、本当にしたいとは思えなかったものだ。

 

世の中的にも、そういう状態の人は多いのではないかと思う。電車に乗っていても、憂鬱そうに仕事に向かう人や、ぐったりと疲れ果てている人を多く見かける。彼らはこの「問い」に「YES」と答えられる人だろうか。

 

でも、よく考えたら不思議なことだ。なぜなら、その日向かっている仕事は、本質的には「本人が選んでしている仕事」なはずだからだ。

 

ほとんどの人は無理やり働かされているわけではない。自分でその会社に入社して、もしくは自分でその商売を始めて、今日を働いているはずだ。それなのに、まるで誰かに強いられているかのように不平不満を言ったり、やる気を失ったりしてしまう。これはなぜなのか。

 

人事領域で使われるようになってきたキーワードに「イコールパートナー」というものがある。社員と会社は「対等な関係性」であり、お互いタッグを組みながらも、依存することなく、適切なパートナーシップを結ぶべきだ、という考え方だ。

 

「イコールパートナー」は、21世紀の日本が目指すべき、理想の働き方のカタチだといえそうだ。社員と会社が手を組み、お互いのために最善を尽くし、「共存共栄」をはかろうという考え方だからだ。

 

同時に「イコールパートナー」は、少し怖いキーワードでもある。いわば、社員と会社とは「雇用関係」で結ばれただけの関係性であって、守り、守られるものではない、という意味合いも込められているからだ。

 

この言葉の持つ、この二面性を考えるとき、どうとらえたらいいのか、迷うときがある。また、自分事として考えたときにも、果たして僕と僕の勤めている会社は「イコールパートナー」足りえているのだろうかと考えてみることもある。

 

おそらく限りなく「イコールパートナー」に近い関係性を築けている方だとは思う。でも、ともすると、会社に依存する気持ちが自分の中に芽生えることもある。日々揺れ動くものなのかもしれない。

 

言葉としての意味は分かる。でも、言葉の細かいニュアンスを理解したり、実際にその状態たりえているかを判断することが難しい、とても抽象的な概念だと思う。一体、この言葉をどうとらえたらいいのか。

 

そのヒントは「人と会社は『N対N』の関係性である」という前提に立つことだ思う。

 

多くの会社の中で「いまこの会社にいよう」と思った社員と、多くの人がいる中で「いまこの人に会社にいてもらおう」と決めた会社とが、タッグを組んでいる状態。それが「イコールパートナー」だ。

 

それはドライに言ってしまえば「契約関係」だが、その契約の上で、お互いを「いい意味で利用」し、最善の努力をし合うことで、よりよいパートナーシップを結んでいき、「共存共栄」の状態を生んでいく。

 

そうして、いわば「健全な共犯関係」を生み出し続けることができれば、社員と会社とは良い関係になれるはずだ。

 

こうした考え方で今の仕事を見直すことで、おそらく憂鬱に電車に揺られることはなくなるし、少なくとも、次の行動のヒントは生まれるのではないかと思う。

 

あなたは誰のものか。別に会社のものではないはずだ。

では会社は誰のものか。こちらも別にあなたのものではないはずだ。

 

お互いがお互いを求める限りにおいて、初めて良いパートナー足りえるのなら、仕事はすべからくそういうものにしていくべきだし、もし今そういう状態で働けていないのならば、ジョブズが言うように、その時には「何かを変える」ときなのかも知れない。

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