「メメント・モリ(死を思え)」とは何か
同じ会社の方が亡くなって、お通夜に行ったときのこと。
斎場に向かう電車の中で、僕はふと「メメント・モリ(死を思え)」という言葉を思い出した。
メメント・モリ(羅: memento mori)は、ラテン語で「自分が(いつか)必ず死ぬことを忘れるな」という意味の警句。「死を記憶せよ」などと訳される。芸術作品のモチーフとして広く使われ、「自分が死すべきものである」ということを人々に思い起こさせるために使われ、日本語直訳では「死を思え」、意訳では「死生観」と言える。
–Wikipediaより
人は必ず死ぬ。自分ももちろん、いつか必ず死ぬ。
そのことを忘れるな、という意味です。
こんなに当然のことを、僕たちは身近な人が亡くなったときくらいにしか思い出せないのは何故なんだろうと、不思議に思いながら電車に揺られていたのを憶えています。
度々モチーフになる「メメント・モリ」
たしかこの単語を初めて知ったのは、Mr.Childrenの「花 -Memento-Mori-」を聴いたときだったと思います。
「うん?なんだ、この聴き慣れない副題は?」という疑問をもって調べて知りました。(同年代の人はこのパターン多いんじゃないでしょうか)
僕が大好きな村上春樹の小説でも「メメント・モリ」を思わせるこんなセリフが出てきます。
「みんな死ぬ」
「誰だっていつかは死ぬんだ」-村上春樹「羊をめぐる冒険」
主人公の「僕」と相対した「先生の秘書」が、唐突に言い放つ場面がとっても印象的でしたね。(読んでない人には何が何やらわからない説明ですみません)
死は正の対極としてではなく、その一部として存在している
‐村上春樹「ノルウェイの森」
こちらはベストセラー小説の有名なシーンなので知っている人も多いですかね。
主人公「僕」の友人「キズキ」が亡くなったあとに、「僕」が思い至る心理描写として出ている言葉です。(本文中でここだけ太字になって強調されています)
「メメント・モリ」は生きとし生けるもの共通の到達点であるだけでなく、生命そのものに死が内包されている、それを忘れるな、という意味もあるのかもしれません。
僕が考える「メメント・モリ」の本当の意味
僕は自分が死ぬこと自体はそれほど怖くないタイプです。むしろ、いつか必ず死ぬことを強く意識していたいと思っているくらいです。
家族と一緒に過ごしている幸せな日曜日の午後に、良い仕事が出来て最高の気分のその最中に、「それでもこの人生がいつか終わる」ということをあえて思い出したりしています。
おそらくそうすることで、必ず訪れる「その時」に慌てたることなく、「お、来るべきその時が来たか」と冷静に受け止められる人間でいたいからだと思います。
でも、一方で「本当かよ」と自分を疑っているところもあります。自分は何があってもそんなに冷静でいられる人間だろうか、と。また、そんな必要があるのか、と。
このテーマは、よく考えるのですがなかなか答えが出ません。また、答えなんて出さなくてもいいのかなとも思います。
重要なことは「とにかく今、この瞬間は僕が生きている」ということ。そして、これを読んでくれている「あなたも今、この瞬間を生きている」ということ。
それが重要なんじゃないかと思うわけです。
お通夜を終えて家に帰ると、無性に食欲が湧いてきたりします。それは胃袋が「今生きていること」を主張しているんだと思います。
そんな時は、奥さんが作ってくれていたごはんをかきこみ、味噌汁をズズズと飲みます。うん、うまい。
そして、決まってこう思います。
「生きている限り、精いっぱい生きる。それだけだ」
そして、もしかしたら、これこそが「メメント・モリ」という言葉の本当の意味なのかも知れないと僕は考えたりしています。
それでは、また。
コメント
初めましてこんにちは!
27歳女です。
メメント・モリで検索してこっきさんのブログにたどり着きました!
ブログで立ち止まることはあんまりないんですが、こっきさんのいくつか記事を読んでいたらどうしてもお話してみたいという衝動にかられました。。
経験も知識も浅いですが、こっきさんの書かれてることにとても共感しました!
他の記事も読ませていただきますね!🙏✨
ブログはないのでInstagramのページをひとまず貼り付けさせていただきました!
どうぞよろしくお願いします🙇🙏
さやかさん
こんにちは。コメントありがとうございます。ここひと月ほどバタバタしていて返信が遅れました。
メメント・モリはいつも考えているテーマで、何本か同じような内容で記事を上げています。
拙文ですが検索に引っかかるようになっていて、お恥ずかしいですが読んでいただけて嬉しいです。
さやかさんはブログを書かれていないということが絵を描かれているんですね。いいですね。
こちらもボチボチ更新していきますので、また読んで頂けると嬉しいです。それでは、また。