元内閣総理大臣・小泉純一郎氏 9/18講演会メモ

時代の空気を感じる方法
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小泉純一郎氏講演会 9/18 @東京ミッドタウン

素晴らしく「じぶんハック!」な内容だったので、記事にさせて頂きました。 ※メモの精度は少々粗めです。

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今日は日頃考えていることをお話しする。皆さんの何かのヒントになればいい

私はすでに国会議員を引退したので、今はのんびりしている。現在は、国際公共政策研究センターというシンクタンク組織の顧問をしている関係で、国会議員の皆さんよりもむしろ経済界の方々と話すことの方が多い。

当然、経済環境の話題が増えてくる。特にいま論戦を張っているのは、原発のこと、電力のことだ。

経済界の皆さんは原発の必要性を説く。運転継続は必要だ、日本経済の発展継続のためにどうしても稼働させなければならない、と。だが、私は少数派だ。将来的に「原発ゼロ」にするべく、論戦を張っている。

私も、事故前は必要だと思っていた事故前電気事業連合会は主張してきた。原発はクリーンエネルギーであると。コストも安い。石油は値段が上がる、しかも輸出に頼っている。そんな中の原発推進。これはいいね、と思っていた

ところが2年前の事故。考えが変わった。

「100,000年後の安全」というドキュメンタリー映画を知っていますか。フィンランドにある放射性廃棄物の最終処分場オンカロのドキュメンタリーです。これを観て、目が覚めたね。核のゴミの処分場は、今世界に1つもできていない。その最初の1つがフィンランドのこの施設になる。

処分場に捨てたあと、廃棄物が安全になるのに10万年後かかる。10万年だよ。関東大震災は90年前に起こった。あの頃、100年後の今のことわからなかったと思う。ピラミッドだってせいぜい数千年。10万年後のことなんて、絶対誰にもわからない。想像できないよ。オンカロは洞窟の意味。10万年後の人類にその洞窟の文字が読めるのか、何が入っているかわかるのかという疑問がある。

原発必要論者と経済界で議論すると訊かれる。「なぜ小泉さんは原発ゼロを唱えるんだ?」と。1つは処分場がゼロなこと。もう1つは日本には津波があるということ。廃棄物はどうする。海に捨てる?宇宙に捨てる?そんなことはできない。海産物、農産物、様々な面に長期間影響を及ぼす。お金もだってかかる。

「対案もないのに反対するのは無責任じゃないか」という意見もある。だが、捨て場所ないのに作る方がよっぽど無責任だと私は言いたい。原発にお金をかけずに、他のエネルギー開発やそれによる雇用にお金かける。

日本は困難を乗り越えてきた東海大地震、10万人が亡くなった。太平洋戦争、300万人の方が亡くなった。その最大の敵であるアメリカ。日本はこれを味方にした。そして戦前より発展した。

昭和16年夏の敗戦」という本がある。都知事の猪瀬さんの本だ。終戦した20年じゃない。アメリカとの開戦前、総力戦研究所といういまでいうシンクタンクが「日本がアメリカに戦争を仕掛ければ必ず負ける」という分析結果を出していた。しかし軍は「それは机上の空論だ」と言い張り開戦した。そして、やはり負けた。

戦後、狂乱物価が起こった。オイルショック。日本は油について3つのことを怠っていた。1つめは、油を備蓄していなかった。なので、値段が上がったらそのまま買わないといかん。2つめに、油の効率的な使い方を勉強していなかった。3つめに、他のエネルギーを開発してこなかった。

狂乱物価は売り惜しみ防止法・買い占め防止法と2つの法律の施行でやっと落ち着いた。それまでトイレットペーパー、洗剤買い占められた。どの家にもすごいいっぱいトイレットペーパーと洗剤がある。なぜ起こったのか、今だに論理的に説明がつかないことが多い。個人的には日本人は綺麗好き、という結論を出した。工場の整備、お茶の会・お花の会、おもてなし、日本人はそもそも綺麗好き。食品も綺麗、寿司が究極だ。

とにかく、日本人は戦争を乗り越えて発展した。石油ショックも乗り越えた。今やできていなかった3つのこと、油の備蓄はしてる、省エネも世界一、原子力の力もあったが、風力、太陽光、バイオマス、蓄電も研究が進んでいる。

同じように、今回のことも日本人は乗り越えて、より安全な循環型社会を目指すことができる。オンカロに8月に行った。島になっている。固い岩盤の底、400mの地下に2km四方の広場がある。

フィンランドは人口540万人。それに対して、核シェルターが4万ヶ所以上ある。家、事務所に設置を義務付けたことと、日常的に活用されていることで実現している。カフェ、サッカー場、地下鉄・・。

日本には力がある。今飲んでいるこの水。500ml入ってて100円以上する。1lだと200円以上ガソリンより高い。贅沢になった。100歳以上の人が今や5万人以上いる。文字通りゴマンといる。こんなこと想像もできなかった。

政治には課題がなくなることはない。なぜなら立てた目標を達成したときには、目標を立てた時には想像もしていなかった新しい課題が出てきているから。だから政治はやりがいがある。だが政治だけではだめだ。

サミュエル・スマイルズの「自助論」という本がある。「天は自ら助くる者を助く」という言葉で有名。また福沢諭吉の「学問のススメ」という本もある。「一身独立して一国独立する」という言葉もある。

ケネディ大統領は就任演説で「我が同胞アメリカ国民よ、国家があなた達のために何が出来るかを問うのではなく、あなたが国家のために何が出来るかを問うて欲しい」と言った。オバマ大統領「我々に今求められているのは、新しい責任の時代である」と言った。

いろいろな責任がある。自分に対しての責任、国家に対しての、国際社会に対しての責任。

人間にとって向上心が一番大事な資質だと考えている。尾崎行雄さんというすごい政治家がいる。連続当選回数25回、60年間国会議員をやった人。この記録は破れない。その尾崎さんが言ったすごい言葉。

人生の本舞台は常に将来にあり」

人間は、齢を重ねれば重ねるほど、 その前途が益々多望なるべき筈のものだというのが、 私の最近の人生観である。 人間にとっては、知識と経験ほど尊いものはないが、 この二つのものは年毎に増加し、 死の直前が二つ共最も多量に蓄積された時期である。 故に適当にこれを利用すれば、 人間は、死ぬ前が、最も偉大な事業、 または思想を起こし得べき時期にあるに相違ない。 

人間何歳でも成長できる。チャンスだっていくらでもある。そうやってがんばっていきましょう。

少し時間も過ぎましたが私の話はこれで終わります。ご清聴ありがとうございました。

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小泉純一郎さん、ありがとうございました。

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