映画 「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」のネタバレ感想です。
奥さんが会社の人に薦められたとかで、観ることになった作品。
Yahoo!映画 の点数も高かったので(3.78点、2017/8/24現在)、期待しての鑑賞となりましたが結論的にはまあまあというところでした。
9.11で父親を亡くした少年が、遺品の中から出てきた鍵の秘密を探るために、ニューヨーク中を奔走する話。
予告編動画はこちら。
ストーリーそのものも、ラストに待ち受けるいくつかの種明かしも心にグッと刺さってくるものがあったのですが、極上の感動とまではいきませんでした。理由は物語に要素を詰め込みすぎているからかなと思いました。
本筋となる物語は自然に感動を呼ぶ物語なので、父親の死因を9.11にした点や、トラウマを受ける前からアスペルガー症候群があった設定にした点などが少し過剰に感じたのです。
もちろん、それらの要素が物語上重要であることは理解しているものの、もっとシンプルに少年の受けた心の傷とその回復の物語に集中させてもらいたかったという感想です。
父親との絆を求め続ける、少年の父親への愛。そして死してなお伝わり続ける、父親の息子への愛。さらにラスト近くになって判明する、母親の息子への愛。
僕の心が残ったのは、結局、この物語の核となるそうした家族の愛の部分でした。
その他、印象に残った部分のとりとめもないメモです。
- 最初から持っていたメモに答えに近いものが乗っていて、かつ最初に訪問した人がその答えの対象だったところあたりは「答えはすでに持っている」という、「アルケミスト」などでも使われている法則を彷彿とさせました。
- 9.11の描写がリアルで、あの日ニューヨーク市にいたらこんな場面に居合わせたことになるんだな、ということが体感として分かりました。(そして胸が苦しくなる怖さを感じました)
- 口をきくことができない祖父が、繊細な少年にとっての一番の相談相手になった点は、「聴く力」「コーチング」の素晴らしさを物語っているなと思いました。
- トム・ハンクスって、こういういい父親役をやらせたら最高だなと思いました。いつかこういう父親になりたいと思いつつ、まったく近づけない自分を感じました。
- 父親の死を忘れずに済む時間を例えた、「太陽の8分間」の話(太陽が爆発しても地球に伝わるまで8分間かかるため、その間は温かさを感じていられる)が印象的だった。
- 主人公と父親がよくやった遊び、「矛盾語合戦」が素敵だった。(無を考えろ、小さな巨人、液体ガス、ほぼ正解、・・・などの言葉を言い合う遊び)矛盾の止揚こそ真実への道か。
こうして書き出してみるとわりといろいろ心に残る部分が多い作品でした。
二度観たいとは思いませんが、一度は観ておいてよかったと思うに十分な魅力を備えた作品でした。(そしてそう思える作品だってそんなには多くないことを考えるとやっぱり名作なのかもしれません)
それでは、また。
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