会社の勉強会で「エンゲージメント」について話し合いました。なかなか奥深いテーマでしたので、言葉の意味やとらえ方について思っているところをまとめてみます。
「エンゲージメント」の意味
「エンゲージメント」という言葉の意味そのものは「約束」「絆」「婚約」で、日常的にはエンゲージメントリング(婚約指輪)が一番聞き慣れた使い方だと思います。
「絆」「婚約」というくらいですから「強い結びつき」というニュアンスがあり、その観点でビジネス上でも使われています。
1つはマーケティング観点で、「企業やブランドと消費者の結びつき」といった意味合いで使われ、これを高めるために広告やブランディング活動の必要性が説かれたりします。
もう1つは人事観点で、「会社と従業員の結びつき」「従業員の会社に対する愛着心」「従業員の仕事への熱中度」といった意味合いで使われ、これを高めることで組織力や業績の向上に繋がるとされています。
「エンゲージメント」は気持ち悪い?
今回の勉強会では「エンゲージメント」を企業価値に繋げている事例として、スターバックスとサウスウエスト航空が挙げられていました。
両社に共通するのは会社も従業員を大切にするし(サウスウエストにいたっては「従業員第一、顧客第二」とまで言い切っています)、従業員もまた会社に対して強い愛着を持っており、文字通り「エンゲージメントしている状態」です。
「エンゲージメント」が高まることで従業員1人1人の力が組織力に変わり、それが商品力・サービス力を高め、競合優位性が上がり、業績に繋がることでさらに「エンゲージメント」が高まるというループが回っています。
ビジネス視点では非常に望ましい状態ができていると言えますが、一方で、こうした会社と従業員のあり方が「気持ち悪い」という意見もありました。もっと合理的な関係性でよいのではないか、という見方です。
会社と従業員の関係性は様々な形があっていいですし、すべては事業成長やミッションビジョンの達成という目的に繋がっていれば良いと思いますが、1つ言えるのは、スターバックスやサウスウエスト航空がビジネス的に成功を収めていて、「エンゲージメント」はその中心的な役割を果たしているということです。
「エンゲージメント」を構成する要素
「エンゲージメント」の対象は「会社」そのものだけではありません。「自社商品・サービス」や「従事している業務」にエンゲージすることもあると思いますし、「自社の顧客」「共に働く仲間」「働く職場環境」「得られる対価」などへのエンゲージも考えられます。
1つではなく複数の対象に愛着を持っている人ほど「エンゲージメントが高い」と言えそうで、その対象が増えれば増えるほど、それはつまり「会社の目指そうとしている世界観」「会社のミッション・ビジョン」に愛着を持っていると言えます。
自分自身、目の前の業務にだけ愛着を持っていた時や、職場の仲間にだけ愛着を持っていた時があり、その時はその時でそれなりにパフォーマンスできていましたが、今は会社のミッション・ビジョンに共感できている部分が多い分、その時とは比較にならないくらい熱中して働けている気がします。
イメージはこんな感じです。
大切なのは会社を知り、自分を知ること
繰り返しますが会社と従業員の関係性はさまざまですし、何に愛着を持って働くかもその瞬間の個人の選択によるところが大きいと思います。
ただはっきりしているのは、従業員は会社が目指していること、つまりミッション・ビジョンや事業戦略を理解すればするほど、自分が愛着を持つべき対象かどうかが判断しやすくなるということです。
同時に、従業員自身が、自らが目指していること、つまり人生の目的ややりたいこと、キャリアプランをはっきりさせていればいるほど、今いる場所が本当に正しいのかどうかを判断しやすくなります。
この両方の理解が進んだ状態であり、かつ目指している方向性の一致度合いが高い場合に初めて高まるものが「エンゲージメント」であるとすれば、「高いエンゲージメント」を成立させる要件はとても多い、とも言えます。
それでは、また。
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