【本】「スターバックス再生物語 つながりを育む経営」(感想・気づき)

組織開発
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「スターバックス再生物語 つながりを育む経営」を読んだ

本書は、シアトルの小さな店を世界最大のコーヒーチェーンに育てたスターバックス中興の祖、ハワード・シュルツ氏の企業再生について詳細に書かれた経営書です。

創業当時からの経緯にも触れつつ、話のメインは自身が会長職に退いてからの経営不振と、CEOに復帰してから行った16ヶ月間の経営改革についての説明がされています。

非常に多くのエピソードが紹介されることと、一部で時系列が前後していたので、以下にスターバックスとハワード・シュルツ氏に関する主な出来事を年表的に整理してみました。

  • 1971年 スターバックス開業、1号店をシアトルに開店
  • 1982年9月7日 ハワード・シュルツ入社(全4店舗のマーケティングを担当)
  • 1983年 イタリア・ミラノのバールでバリスタの技、店と人の繋がり、コーヒーの香りに感動する
  • 1986年 スターバックスを退社し、イル・ジョルナーレ設立
  • 1987年 スターバックスを400万ドルで買収
  • 1996年8月 日本第1号店を東京・銀座に出店
  • 2000年 オーリン・スミス(1990年入社)CEO就任、ハワード・シュルツは会長職に
  • 2005年 ジム・ドナルド(2002年入社)CEO就任
  • 2006年終わり頃 ベテランのパートナー(従業員)たちが不安を訴え始める
  • 2007年2月 「スターバックス体験のコモディティ化」メモを経営陣に展開(のちネットに漏洩)
  • 2007年9月 CEO復帰を決断
  • 2008年1月7日 ハワード・シュルツCEO復帰、パートナーへの「変革に向けたアジェンダ」発信開始
  • 2008年2月 米国内7100店全店を一時閉鎖して、135,000人のバリスタ研修を実施
  • 2008年3月4日~6日 グローバルサミット(経営陣と世界200人のシニアリーダーが参加)で「新ビジョン」「7つの目標」「新ミッション・ステートメント」を発表
  • 2008年3月19日 株主総会にて「お客様重視の6つの改革」を発表
  • 2008年4月8日 「パイクプレイス・ロースト」発売開始
  • 2008年4月末 既存店売上高が史上初の前年割れ
  • 2008年7月1日 業績不振の約600店舗(アメリカ展開店舗の8%)を閉鎖、12,000人(全世界の7%)のパートナーを解雇
  • 2008年11月4日 アメリカ大統領選投票日にコーヒー無料提供キャンペーンを実施
  • 2008年10月27日~30日 リーダーシップ会議(店長以上約10,000人が参加)でミッション、価値、新店舗ツールの浸透
  • 2009年2月17日 「スターバックス・ヴィア」(インスタント・コーヒー)販売を発表(まずはテスト販売から)
  • 2009年6月末 ふたたび増益に転じる
  • 2010年秋 過去最高益の達成
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読んでみての感想・気づき

正直、ちゃんと読む前は「どうせ創業社長が後任育てに失敗して、また舵取りしちゃって成功した自慢話でしょ」くらいに思っていました。

でも僕は2つの思い違いをしていたことに気づきます。1つはハワード・シュルツ氏はそもそも「創業社長」ではないこと、そしてもう1つは本書が「ただの自慢話」ではないことでした。

読んでみての感想・気づきは以下の通りです。

  • スターバックスへの愛と情熱が原動力だった(家族と同じレベルで愛し、情熱を注いでいた)
  • スターバックスにとって何よりも大切なのは「コーヒーの味と香り」「パートナー(従業員)」そして「第三の場所(サード・プレイス)たる店舗」という姿勢が貫かれていた
  • その愛、情熱、大切にしたいものを元にして、「ビジョン」「ミッション」「戦略」「戦術」へと落としていくアプローチを取った(すべてが本心から出発していて、全体像があり、かつ人に伝えられる物語になっていることが特長)
  • インスタント・コーヒーのような意外な「戦術」も上位の「戦略」「ミッション」と繋がっていた
  • コーヒーの香りが大切なあまりサンドウィッチのチーズを憎む信念や執念(チーズのにおいがわたしたちの物語を台なしにしてしまった、と表現)
  • 美しい物語だけでなく、経営陣の刷新、店舗閉鎖、解雇、過去の失敗談なども盛り込まれ、なぜ改革が成功したかを説明しつくしていた
  • とはいえやはり自伝なので自らの判断や行いを美談に変える表現は目に付いた(復帰の理由や苦渋の判断の説明など)
  • 欧米の経営書にありがちな冗長表現も多く、同じ内容をもっとシンプルにまとめられると思った(上記年表も実際入れて欲しかった)

少し難癖もつけてしまいましたが、本書はリーダーシップ・マネジメント・社員や顧客のエンゲージメント作り・人材開発組織開発・店舗開発・新商品開発といったテーマについての汎用的な成功法則がまとめられており、書籍としての総合的な価値は非常に高いと思いました。

あとこれ読むと、明日にでもスタバに行って「フラペチーノ」を飲んで、「ヴィア」を自宅用のお土産に買いたくなりますね。(個人的に普段はドトール派ですが、人間なんて単純なもんですね)

そんなわけで上記テーマについて興味関心がある人、スタバが好きな人、スタバ好きじゃないけどコーヒーが好きな人は、ぜひご一読されることをおすすめします。

 

それでは、また。

 

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