【本】「1つ3000円のガトーショコラが飛ぶように売れるワケ」に学ぶ一点集中戦略

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お仕事でお会いした西理恵様(All About銀座ランチガイド)から、「ケンズカフェ東京」の「特撰ガトーショコラ」と、オーナーシェフ氏家健治氏の著書「1つ3000円のガトーショコラが飛ぶように売れるワケ」を送っていただきました。

本記事はその書籍のほうの感想になります。

※ガトーショコラの感想は別記事にて
最高級!ケンズカフェ東京「特撰ガトーショコラ」が激ウマな件

 

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価格を起点にしたブランディングの物語

「ケンズカフェ東京」の「特撰ガトーショコラ」は過去3回値上げをしているそうです。

▽値上げの歴史(販売価格・グラム数・販売本数)

  • 発売当初    1300円(500g) ※1日4~5本
  • 1回目の値上げ 1500円(250g) ※1日10本以上
  • 2回目の値上げ 2000円(250g) ※1日6~16本
  • 3回目の値上げ 3000円(250g) ※1日50本程度?

サイズは半分(500g→250g)で価格は2倍以上、実質4倍以上の値上げとのこと。

1本250g、片手に収まるサイズのガトーショコラが3000円。これはシェフ自らも認めている通り「常識的に考えると高すぎる値段」です。しかし実際には飛ぶように売れている。理由は「ブランディング」が成立しているからです。

「ブランディング」は「顧客の頭の中に形成されるイメージ作り」のことですが、「ケンズカフェ東京」のガトーショコラはプライシング(価格設定)を起点にしながら戦略的にイメージ作りを成功させました。

3000円という「話題性」がメディアに取り上げられる機会を作り、3000円でも購入する顧客が商品の「格を上げ」てくれ、3000円が実現する収益性が「将来的な事業継続性」を担保してくれる、という好循環を生み出しています。

本書を読んで、値上げのたびに原料やパッケージの高級化を行ってはいるものの、けっして「理由を作って値上げをした」のではなく、「そもそもそれだけの価値がある商品を適切な価格に引き上げた」という確かなストーリーを感じました。

つまり、一見すると高すぎる3000円という価格が、戦略的には「当然の帰結」だったということなんだと思います。

 

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普遍的なマーケティングが学べる内容

「3000円のガトーショコラ」という商品が完成するまでに氏家シェフがとったアプローチは、他のビジネスにも応用可能な普遍的なマーケティングのヒントに溢れています。以下は「誰に」「何を」「どうやって」の分類で、それぞれ印象的だった部分になります。

 

「誰に」(顧客)

既存の顧客(誰に買われているか)ではなく、「未来の顧客」(誰に買ってもらいたいか)に視点を合わせている点が印象的でした。今のお客さんにとらわれていないことで大胆な値上げを実行することができたのだと思います。また、常にどういう話題性で買われるか、どういう用途で使われるか、など「購入されるシーン」を想定しつくしたうえで、価格、材料、パッケージなどを決めているのも印象的でした。

 

「何を」(商品)

「ガトーショコラを売っている」というより「チョコレートを味わう最高の食べ方を伝道している」という提供価値定義が、すべての戦略の出発点になっていると感じました。そのため、材料も「最高級のチョコレート」と「それを邪魔しない高品質なバター、卵、グラニュー糖」という方針が貫かれているようです。

 

「どうやって」(提供方法、プロモーション)

シェフ1人の手作りによる、1店1品主義で商品としての特別感を出しつつ、ファッション系ブランドのような高級感のあるパッケージで提供する。それが「3000円のガトーショコラ」の格を生み出しています。また、SEO対策やSNS活用といったネット上での情報発信や、インフルエンサーへの働きかけなどを入念に行っている点が素晴らしいと思いました。

 

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「職人」というよりも「求道者」としての高い志

ここまで書いちゃっていいの?というくらい、商品や店での取り組みとその狙いがすべて書いてある本です。レシピまで公開しちゃってますし、正直、説明責任を果たしすぎな印象があります(笑)

それを実現しているのは、自己変革をしつづけてきたことへの「自負」や、その結果確立した商品への「自信」、そして何よりも「美味しいガトーショコラを世に広めたい」という高い志なんだろうと思います。

本書を読んで、氏家シェフは「職人」というより「求道者」というイメージが強く頭に残りました。特にそれを強く感じたのは「『100』をキーワードに一流を極める」というくだりです。

ブランド力強化の一助として私が意識しているのは、自らの見聞を広めるために他の分野の一流を知ること。そのために実践しているのが、あらゆる分野の本質を追究するため、「100」をキーワードに一流を極める努力です。(中略)ある一定数以上の場数を踏むことは、あらゆる分野で本物を見分ける眼力を養うことにつながるのではないか。私はそう思い、まずは年間100軒以上のフランス料理店を食べ歩くことにしました。(第4章 ”ありがたみ”を形にするサービスブランディング)

その結果、自身のガトーショコラがどの店にも負けていないことを確認したあとも、花屋、床屋、クリーニング店でも同じように100店舗以上利用することで、その分野における「一流」を見分ける努力をしているとのことでした。

 

自分の仕事に置き換えたら、自分はいま何ができていて、今後何をすべきか、ページをめくるたびに考えさせらえる本でした。このブログに置き換えたら、という点でも大変勉強になりました。

僕はいただいたガトーショコラを食べたあとで本書を読みましたが、裏側のストーリーを知った上で味わう「3000円のガトーショコラ」はまた違った味わいがあるのではないかと思います。なので、今度はちゃんと3000円をお支払いして食べたいと思います(笑)

 

本書とガトーショコラをプレゼントいただいた氏家健治様、西理恵様に感謝を込めて。

それでは。また。

 

※関連リンク

ガトーショコラの最高峰|ケンズカフェ東京の特撰ガトーショコラ公式サイト

ケンズカフェ東京 [新宿御苑前/洋菓子、ケーキ] – Yahoo!ロコ

銀座ランチガイド 西 理恵のオフィシャルブログ – アメーバブログ

 

1つ3000円のガトーショコラが飛ぶように売れるワケ 4倍値上げしても売れる仕組みの作り方

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