※ホームページより
「鍵泥棒のメソッド」を観た
堺雅人、香川照之、広末涼子。最高に好きなキャストだったうえに、信頼するYahoo!映画のレビューも4.2点も大変高得点であったことからずっと気になっていた本作。ようやく観ることができました。
■あらすじ
35歳にして定職もなく、売れない役者稼業にもほとほと嫌気がさした桜井(堺雅人)は自殺にまで失敗してしまう。その後、出掛けた銭湯で見るからに勝ち組男のコンドウ(香川照之)が彼の目の前でひっくり返り、頭を強打したせいで記憶を失ってしまった。桜井は衝動的に彼の荷物をくすねてコンドウに成り済ましたのだが、実はコンドウの職業は殺し屋で……。Yahoo!映画より
予告編はこちら。
面白そうでしょ!?予告編にだいぶ大事なトコロ(2つの意味でw)を盛り込んでくれちゃってるので、これだけでも本作の雰囲気はだいぶつかめちゃうかと思います。
以下、ネタバレ感想です。
最強に面白かった!(でもすこーしだけ不満もw)
脚本最高。とーっても面白い設定とストーリーでした。
メソッドといいつつ、全然メソッドじゃない、その虚構性が秀逸。悲劇なのか、喜劇なのか。ノンジャンルと言われるゆえんも納得の不思議ワールド。
そこに支えられての三人の役者の好演が素敵。
広末涼子は演技そのものはアレとしても、彼女でないと出せない雰囲気が非常に良い方向に発揮されていたと思います。僕は好きな感じでした。
また、堺雅人も安定のダメ男っぷりで(ちょっとゴールデンスランバーの主人公とかぶるけど、あっちは誠実な良い人だったか)、こちらも彼じゃないとできない役柄をモノにしている印象でした。かわいい人ですね。
でも何といっても、やっぱり香川照之のすごさ。この映画は彼の役者としての素晴らしさを思いっきり味わえるところが一番の売りかなと思います。
登場シーンの鮮やかなヒットマンぷりから始まり、記憶喪失による豹変ぶり、そして記憶を取り戻したときのあの暗がりに浮かぶ気迫の表情。これすべて一人の役者がやっているんだよなと思うと不思議な気持ちになりました。
実は悪人じゃなかったというオチや、ラストのひたすらハッピーエンドな感じも素敵にハマる、100%オススメの傑作映画でした~。
なんですが、少しだけ不満も。(最高の映画であることは前提としてですよ)
まず中盤くらいからのテンポが悪い。正直、一番笑ったシーンは冒頭の広末のくだりと、そこに続く風呂場の転倒シーン(ここは日本映画史上に残る名場面!)だったのですが、そのあとは大爆笑する場面もなくわりとゆっくりめに展開します。同じストーリーでもあと15分くらいは短いくらいは短くできるんじゃないかなーなんて思いました。
あとは、香川照之が素晴らしすぎて、堺雅人が食われてしまった感があって、ここも残念でした。できればもっと競ってもらう感じにして欲しかったな。エンドロール中の余計なオチも、食われた主人公を無理やり引き立てるために入れたのかなと邪推するくらい。
とかなんとか言いつつ、半沢直樹vs大和田常務をこんな形でまた見ることができる幸せは何にも代えがたかったのですが。
この映画から教わったこと
やいのやいの書きましたが、本作が最っ高にハッピーな映画であることは保証します。そして最後にこの映画で気づいたことをもう1つ。
作中一番印象深かったのは香川照之演じるコンドウが、真面目にノートを取っている様でした。そこには喪失した記憶を自分自身で取り戻すべく、些細なことでも残しておこうとした記録から、演技の事細かい勉強メモ、そして好きな人の名前まで、綺麗に丁寧につづったもの。
コンドウはこうした几帳面な性格を武器に、殺し屋(と思わせておいて実は便利屋)としても、役者としても自分にしかできない存在感を発揮していく設定でしたが、観客はここから、そうした努力を積み重ねられる人だけが、より大きな功績を残せるし、最終的に人の心を動かす仕事をできるんだという真理を思い知らされることになります。
タイトルにある「鍵泥棒についてのメソッド」は全っ然学ぶことはできませんが、本作からはこうした「人生のメソッド」といえるようなエッセンスをもらえたような気がします。
・・つまり「香川照之、最高。」ということです。
それでは、また。
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