戦略の重要性が分かり合えない
先日、同様の記事 を書いたものの続き。
そもそも商売の勝率なんて2割くらいだという。10コ仕掛けたら2コ成功するくらいの相場感だ。
でももし、チームの戦略が合ってないのなら、勝率は0割。10コ中10コとも失敗すると思う。
それが、僕がチームで戦略を合わせることを重要視する理由だ。
また、話は常に高いところから低いところへ(ビジョン、ミッション→戦略→戦術→タスク)、
遠いところから近いところへ(5年後→1年後→半年後→今月→今日)、
と整理していくことがセオリーだ。
それが、僕が戦略が不明なまま、戦術やタスクの話ばかりすることを避けたがる理由だ。
でもこんな当然のことが何故か周囲と合意形成できない。なぜだ!なぜなんだー!
・・・という思いを、同じく戦略思考でありながら、それを上手に周囲に浸透させることに成功している先輩にアドバイスを仰いでみた。今日はそのありがたいメモ。
尊敬する大先輩が歩いてきた道
「良い物を作れば勝てる」と考えるボスに対して、マーケティングの必要性をプレゼンし続ける。そんな努力を続けてきた尊敬すべき大先輩が、戦略の共有をする時にどんな工夫を凝らしてきたかを聞いてみた。
1.自分と同じ「空気感」に連れてくる
テンションが違うまま、提案を受け入れてもらえることはない。
伝えたい世界観、空気感、自分の気分に「巻き込む」つもりで、なるべく情報を同条件にする。
相手に話すまでの検討した流れ、前提条件、他の人にも話していれば、どんな駆け引きや空気だったかなど。
自分と同じ「気持ち」にさせる。多分に情緒的な話だ。
2.「相手の文脈」に合わせる。
同じ資料を見ていても、同じものが分かり合えるわけではない。ましてや「自分の文脈」で書いた提案資料が、そのまま相手に伝わるわけがない。
大切なのは「相手の文脈」に合わせること。
相手が聞きたがっている角度から、知りたがっている情報から、課題と思っているポイントから、優先的に話す。
内容そのものよりも、「文脈」というアプローチの部分で勝てれば、その後の本題は意外とスムーズだったりする。
3.「理論の情緒化」と「情緒の理論化」をする
世の中には「頭先行型」の人と、「心先行型」の人がいて、その思考の癖の違いから、話が伝わりづらい傾向がある。
特に「頭先行型」の人から「心先行型」の人に伝えるときは、どうしても「頭でっかちめ」と思われやすい。そんなときは「理論の情緒化」をすること。
提案資料も数値や理論ではなく、イメージや雰囲気を伝えるところから入る。伝え方にもユーモアを織り交ぜ、心に訴えかける。一見、本質的じゃない工夫の先にこそ、伝えたいことが伝わる世界がある。
逆に「心先行型」の人から「頭先行型」の人へ伝える時は、「ロジカルじゃないな」と思われやすいので、「情緒の理論化」をするといい。
4.戦略の重要性すら分かり合えないときは「一緒に考える」
もっと手前の問題として、「そもそも戦略なんて必要あるの?」という相手にはどうアプローチするか。その場合は「一緒に考える」という方法を使うと良いという。
「この場合は”左”に行った方がいいですよね」「この場合は”右”ですよね」と一緒に整理していくことで、共通のテーマに関する共通の法則性みたいなものを見出していくプロセスを作る。
それを組み上げた先に、自分が思っていることを「相手に言わせる」シナリオを作る。相手が自分の思っていることを言ってくれたときに「さすが!いいですね!」と言って合意する。
少しテクニック的だが、非常に効果的だと思う。
プロフェッショナルじゃないけど、努力するしかない
どこまでいっても「戦略」とか「プレゼン」とか「合意形成」のプロにはなれない。
というかそこが仕事ではない。
けれど、こうした日々の努力の積み重ねの先にしか答えはない。
だから今日もこうして議論を交わしたし、新しい気づきを持って明日も仕事にあたる。
やりたいのは「商売で勝つこと」そのものではなく、
「商売で勝つために最低限の要件として『戦略の合意形成』を行うこと」だ。
頑張ろう。
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