41歳、熱に浮かされる。

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ひどい風邪を引いた。

ここ最近の無理がたたったのかも知れない。ゾクゾクするような寒気から始まり、高熱、咳、痰、頭痛、節々の痛み……と典型的な風邪の症状だ。

とても仕事ができる状態ではなかったので、休みをもらうことにした。よりによって予定が盛りだくさんの日だったので、上司や同僚にはそれなりに迷惑をかけてしまった。

熱はその後、三日三晩続いている。この記事を書いている今も続いている。

幸い熱が出始めたのが金曜日だったので、続く土日はゆっくり休めばよかった。家族にうつさないように食事と病院以外は自室に引きこもり続けることになった。

引きこもってゴロゴロしていてもずっと眠れるわけじゃない。どうせ起きているならなかなか読めなかった本でも読もうかと思っても、熱があるから文章に集中できない。

家事もできない、子どもたちとも遊べない。本も読めない、ブログも書けない。そして意外と眠れない。

いよいよ何もすることが出来なくなったところで、僕は部屋の天井を眺めながらグルグルと考え始めていた。

そう、熱に浮かされながらも、頭は何かを考えたがっているようだった。「せっかくの機会だ、人生の来し方行く末でも考える時間にしよう」。そう思った。

僕は現在41歳。IT企業に勤めるサラリーマンだ。仕事は人事部門で人材開発組織開発を担当している。埼玉県に家を買い、妻と娘と息子と四人家族で暮らしている。

1976年に千葉県に生まれて、地元の公立小・中学校を卒業し、隣町の公立高校に通い、東京の私立大学を出て、食品メーカーに就職した。

30歳の時に転職をし、今の会社に入社。ちょうどその頃、奥さんと出会って結婚をした。35歳の時に娘が、39歳の時に息子が生まれた。

そして40代になった今、思ったより若々しい見た目のまま迎えられたが、思考力や体力の面ではやはり無理が効かないようになってきた。(実際、今も熱が長引いている)

仕事も家庭も今のところ順調だ。

会社では、人材開発組織開発の専門チームに所属し、主に管理職向けの社内研修などを担当している。研修の講師業だけでなく企画・運営までを行い、関係者から一定の評価を得ている。

家庭では、家族4人、互いを尊重し合いながら、良い関係を築けていると思う。些細な喧嘩はあっても、話し合いをもって解決できる状態を皆が協力して生み出している。

我ながら上出来な人生だとは思う。「僕にしてはよくやっているな」と。

でも同時に自問自答したくなる。「本当にそうなのかな?」と。

良く言えば「欠点のない人生」なのかもしれない。一方で、悪く言えば「当たり障りのない人生」と言えるのかもしれない。

そう、「食べログ3.0点」のお店みたいに。

当たり障りがないからネガティブなコメントも書きようもない。ソコソコお客さんも来るから廃業しない。でも最終的には誰の記憶にも残らない。そんな人生。

自虐的過ぎるだろうか。でも実際そんな人生になりつつある気がする。そして、その危惧感を強めているのは世の中の変化にある。

会社を辞めて起業する人が増えてきた。フリーランスとして腕っぷし一本で食べていく人も増えてきた。

会社を辞めないまでも、専門領域を磨くために自ら役職を降りて現場仕事にフォーカスする人がいる。大人の学びを得るために社会人スクールに通う人も増えてきた。

共通するのは「自分ならではの領域で腕を磨き勝負する人たち」。

そんな新しい働き方、生き方をする人たちを目の当たりにするにつれ、自分もそういう生き方をしてみたいと思うようになってきたのだった。

とはいえ、僕たちは「いい人生選手権」をやっているわけではない。人生の良し悪しは人との相対で決まるのではなく、自分の中での相対でしか決まらない。

人と比べたり、競ったりすることなく、自分のやるべきことをやる。人からどう見えるかを気にしている暇があったら、やはり自分のやるべきことに集中する。そうして自分本来の力を研ぎ澄ました先にしか、その人の人生が向かうべき本当のゴールは待っていないと思う。

食べログで人気店といわれる3.5点以上のお店はどこも、食べログの点数を上げようなんて思っていない。ただひたすらお店本来の魅力を研ぎ澄ましただけ。その結果としてお客さんの評価がついただけだ。

「僕の人生、食べログで言えば何点か?」なんて考えている時点でダメなのだろう。

そして問題は「僕の人生が3.0点であること」ではない。「僕が人生を人の評価の視点からしか見ていないこと」だと気が付いた。

ではあらためて、僕が磨くべき武器は何か。

1つは今やっている「人材開発・組織開発」という領域だろう。もう1つは4年続けている「個人ブログ」。そして3つ目は、まだ学び始めたばかりだが「ライティング・スキル」になると思う。

武器を磨いて取り組んで言った結果が何点でもいい。人の記憶に残ろうが残るまいが、それだってどうでもいい。むしろ、やるべきことをやったあとに、自分が人生で成し遂げたいと思っているタスクリストを、どれだけつぶしていけるかが大事なことだ。

ふう、熱い。まだ熱が下がらない。熱に浮かされながら、ここまで考えを進めてきた。

調べてみると「熱に浮かされる」には「病気で高熱を出してうわごとを言う」という意味のほかに、「前後を忘れて夢中になる」という意味もあるようだ。

僕は熱に浮かされようと思う。

いまだ続く高い体温はそろそろ下がってほしいけれど、ここに書いたことが「うわごと」にならないように、人生後半戦は前後を忘れて夢中になって、得意技を磨いていき、人生前半に出来なかったことを全部やりきりたい。

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