映画「マネーボール」から「組織開発」が学べるよ、という記事です。
映画「マネーボール」を観たよ
他社の人事の人から「組織開発の参考になる」と教えてもらったのがきっかけで映画「マネーボール」を観ました。
舞台は2000年代初めの米メジャーリーグ。貧乏球団オークランド・アスレチックスのGM(ゼネラルマネージャー)、ビリー・ビーン(ブラッド・ピット)がデータと統計的分析に基づく戦略で、資金潤沢な競合球団を打ち負かし見事地区優勝を果たすストーリーです。
このデータ分析から野球の戦略を考える手法を「セイバーメトリクス」と言い、作中ではGM補佐役として他球団から引き抜いたピーター・ブランド(ジョナ・ヒル)が実行していきます。
データで勝利する「セイバーメトリクス」とは
ビリーとピーターは、ベテランスカウトマンたちが昔ながらの感覚に頼った選手獲得をし、監督が勘に頼った采配をしていたところに、「出塁率」をはじめとしたデータ的根拠を中心としたトレード戦略、起用戦略を持ち込みます。
以下はピーターがビリーに言った「セイバーメトリクス」をよく表す名セリフたちです。
「皆、間違っています。本当に買うべきなのは『選手』ではなく『勝利』です」
「プレーオフに行くには99戦は勝つ必要がある。それには最低でも814得点が必要で、失点は最大645点までに抑える必要がある」
「選手の評価には先入観や、目に見える欠陥、年齢、見かけなどが入っています。他チームでは評価が低い選手を集めることで、我々の予算内で『25人の優勝チーム』を作ることができます」
「(スカウトマンたちから、なぜ他球団が見放した選手を獲得するのか、と問われて)塁に出るからです」
ー映画「マネーボール」より
データメトリクスでは、野球を「27個のアウトを取られるまでは攻撃し続けることができるゲーム」と定義して、ここを軸に重視すべき要素とそうでない要素を決めています。
野手に対しては、前述した「出塁率」の他にも「選球眼(四球を選ぶことで低リスクに塁に出る能力)」も重要視される代わりに、リスクを冒すわりに得点に結びつく確率の低い「バント・盗塁成功率」は重要視されません。
また、投手に対しては「ルックス」や「投球フォーム」など目に見えやすい魅力を重視しない代わりに、「奪三振数」のように勝利に直結する指標のみが重要視されました。
すべては「勝利」に向かってデータ的に正しいことをし尽くす、というのが「データメトリクス」の本質です。
「組織開発」として観る「マネーボール」
「マネーボール」は「組織開発」の視点で観ることができます。
組織開発とは「組織が成果を上げるようになるために行う全てのこと」を指しますが、これをデータ分析手法を元にやりきったのが「マネーボール」のストーリーだからです。
組織開発は「目的(Goal)」「役割(Role)」「手順(Process)」「関係性(Interaction)」という要素が揃っていることが重要、という考え方がありますが(頭文字をとってGRPIモデルと言います)、本作では、
- 目的:チームの勝利、リーグ優勝
- 役割:GM・スカウト(選手獲得)、監督(采配)、選手(プレイ)
- 手順:目的に近づくための選手獲得、起用、試合運び
- 関係性:個々人の精神的な面にも働きかけて叱咤激励をする
という構造で組織開発が描かれていると読み解けます。
また、「マネーボール」は、データを使って獲得したり放出したりしているシーンが多いため(その日の試合に出る準備をしている選手に放出決定を伝えたりする場面もある)、一見すると、主人公たちは人間的に冷たいと受け止められかねないです。
でも、実際はデータを読み説かない限り見えてこない選手の魅力・潜在能力に気づいていったという側面を考えると、「データは温かい」という風にも受け止めることができ、採用・登用・人材開発の観点で定量的なデータを用いる重要性にも気づかせてくれる作品でもあります。
とにかくブラッド・ピッドがかっこいい
といろいろと書きましたが、つまるところ本作の最大の魅力はブラピがかっこいいこと。
僕が最高に好きなシーンは、スカウトマンたちとの議論の時に
「問題は金持ちチームがあり、貧乏チームがある。そのあとにクソがあり、そして我々だ。不公平な戦いだ」
と言うシーン。クソより下な我々って・・・。カッコよすぎる。
また、インディアンズに一人乗りこんで、トレード交渉を重ねる場面で、ミックスナッツを食べまくるシーンも好き。
人んちのナッツ食べ過ぎでしょ。食べ方もまたカッコいいのよね。
データを基に、人と組織の才能を開花させる方法について学べるだけでなく、ブラッドピットのカッコよさも堪能できる本作はとってもお得だと思います。
それでは、また。
※おまけのひとりごと
ラストのビリーの娘ちゃんの歌も可愛くて最高。「パパはバカよ、もっと野球を楽しまなくちゃ」ってこれもまた名言。
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